役割と先行き(仮)
顔真似をするアンドロイドはカメラで持ち主の表情を認識、対応する表情モジュールを動かすのだが、タイムラグに退屈してしまう
缶チューハイを2本飲んで、明日の弁当を作る
野菜の煮物と、鶏肉とネギの柚子胡椒炒め
久々の炊事で、炊飯器も久々に鳴る。
シャワーを浴びて洗面所に立つと、隣家でサッカーの試合を応援している声が聞こえてきた。二人暮らしらしい初老の夫婦が夕飯から夜にかけて交わす言葉は、他愛なく角もない。急須を座卓に置く音だけが聞こえることもある。盗み聞きしてるようで悪いので、ドライヤーを使ってから和歌山行きの夜行バスに向かった。
6月1日、俳優座の『先生のオリザニン』再演を母と一緒に観た。会場の江東区文化センターは安心な空気で包まれていた。昔、故郷の文化センターで東京から来る人形劇や、劇団の芝居を観ていた事を思い出した。途中休憩の時に天気のよい外で水を飲みながら母に「彼女は何年お芝居やってるの」と訊かれたので「7年だよ」と応えると「すごい瑞々しい。いいもの観たねえ」と言っていた。子供の頃憧れていた舞台上に彼女がいる事を、勝手に誇らしく思った。集合住宅が好きな自分には、江東区は素敵な場所で離れがたく、適当なゆるい雰囲気の外国人しかいない食堂でラーメンを食べて帰った。その日の夜母は青森に帰り、2日後、彼女は関西に旅立った。
和歌山に向かう夜行バスの車内で、面倒くさくてブログを書けなかった。ここ一週間飲んでないし、やる気が起こらないし、しばらく書いてないうちに色々有って、めんどくさかった。4月後半に、彼女と弘前の桜を観た。それは弘前に住みたいと初めて思うくらいの桜だった。その時、舞踏家のIchkawaさんが8月の公演のチラシの撮影に来たので、弘前公園で撮影をしてから家に泊めた。Ichkawaさんは女性の服を着るのだが、公演でも日常でも着ていて洗わないので血と汗と垢が滲んで臭いのだった。実家を見て「民宿にするがいい」と言っていた。
弘前から帰ってきて、彼女と婚約をした。酒を飲んでは喧嘩も絶えないのだけど、知り合ったきっかけの舞台の面子も祝ってくれて、チェブラーシカの婚姻届けもプレゼントされた。最初は酔っている時に何かの包装につかったリボンを引っ張り出して互いの指に巻いたのだけど、汗もかくのでチチカカのハチドリの指輪に更新した。象と猫のデカい飾りと比べて僕が選んだのだけど、頭にあったのはナスカの地上絵で、カナダのインディアンにとってハチドリは、美しさ・愛の象徴なのだった。最近は地金の銀色が出てきて味も出てきているのだが、たぶんまた更新されると思う。
和歌山駅前で携帯を充電できるのはロッテリアだけだった。結局1日3回行ったのだけど、2回目のコーヒーを飲んでいると彼女がやってきた。店に入ってくるなり走ってきた。走ってきたのだ。その日は和歌山城にいったり、市の庁舎で何かを取り戻すように食べたり、伸ばしていた顎鬚を剃ったりして楽しかった。
やがて彼女が帰ってきて初めての休日の今日、斎場近くのカフェでとても美味しいご飯を食べた。高校時代からの馴染みの美容室で、ちょっと前髪を切ってもらいながら煙草を吸う彼女はかっこいいのだった。
彼女が起きてきた。具合が悪くて寝ていたのだけど、これから飲みに出かける。
最近、小劇場時代の知り合いとよく会う。もしかしたらまた何かあるかもしれない。
ああ、母がいる時にしてくれた家の事も書いてない。
写真もあげていない。いずれまた更新されるだろう。
いってきます。