弔辞

臼井義人さんのご冥福をお祈りします。
今回は臼井さんのご家族の感情を逆撫でするような
内容かもしれない事を予めお詫びしておきます。


臼井さんは崖の上から下を覗き込み
写真を撮ろうとしていたと推察されるとの報道を読んだ時
言いようもない感慨を持った。
自分は学生の頃、寮の屋上にある煙突に上っていた。
毎日に停滞を感じた時、興奮したい時、新しい景色を見たい時に
上った。夜通し飲み明かした後にも。


見たことの無いものを見たいという好奇心。
新しい感情を掘り起こしたくてする行為。
オスに特有の行動のように思えてならない。
例え命をかけなくても、異常な探求心を無くした時
オスはオスでなくなるような気がする。


臼井さんは探求する人だったと思う。
全作品を読んだ事はないが、『クレヨンしんちゃん』でも
松坂先生の彼氏が戦場で死んだ話など普通は書かないと思う。


人間の内面への好奇心に忠実な方だったのだと思う。
悔やまれる死である事に違いは無いし
勿論面識もない人ではあるが
僕は生まれて初めて死者の冥福を心から祈った。