火起し


水が少なすぎてインスタントラーメンを少し焦がした。夕飯の支度をしていると実家から電話があり、中学で同じ学年だったあまり話した事無い人のお父さんが急死したという事だった。うちの親父は若い頃一緒に舞台をやった事があるとかで、今日お通夜に行ってきたそうだ。母「とにかくあんたも気をつけるこった」との事。そうだね。

ラーメン煮炊きの図。というのはウソで、1年振りに火鉢に火を起こした。今回の冬はなかなか手強くコタツオンリーだとやっぱり寒い(特に深夜)ので、本当は石油ストーブを買おうかと思っていた。でも新たに買うとなると選択肢の少ない商品のようでこれだ、というのがない。アラジンのブルーフレームはなかなかだけど、そもそもうちは狭いし。で、結局火鉢。知り合いは「一酸化炭素中毒に気をつけてね」とメールをくれる。普遍的だが若干タイムリーな忠告。
素人なりに炭に火をつけるコツは組み方だと思う。炭の大きさもいい塩梅にしないといけないし、炭は小さくなっていくのでそれも予想してやらなければならない。去年も暇な時にしか使ってなかったのは、自分はその辺りがまだうまくないからなのだった。通販で買った炭は長いので、火がつき易いように適度に割る。カスが散るので流しで。「火おこし」も有るが、ガスがもったいないので2、3個赤くなったらさっさと火鉢に炭を組み、息を吹き込んで他の炭に火を移す。30分近くふーふーやるといい感じになった。おかげで温まった…あれ、本末転倒?炭の火は携帯で撮るとどうしても紫色になってしまったが、もっと普通に赤い。
ずっと火に顔を近付けているので肌が焼ける。唇も割れてくるので柔い肌ではやってられないだろうと思う。熟練したらそうでもないのだろうが、江戸時代の置屋なんかでも火鉢箱の前にいるのは、大抵肌が荒れようが構わない年増や親爺のイメージである。しかし火鉢ってものは炭の調整でずっとそばにいないといけないし、色々汚れるので現代の一人暮らしには全く向いてない。ガスコンロの火と一緒で部屋全体の空気を暖めるには用をなさないし。友達とハタハタなんか炙りながら酒飲んだりするにはいいんだろうけどなあ。そんな酔狂な友達もいないし、ハタハタも無いわけで。

傍に座って火の世話をしているのも、他に何にもやる事が無いならそれなりに楽しい。お湯はゆっくり沸いてくるので「ちゅん、ちゅん」とヤカンの鳴く音もなんとなく風情はあるし。暇つぶしに雑誌でも読みながら、とかなら日常的に使えるか。落語のCD聴きながら浸るとか。いいんじゃない。
久々に火を起こしてみて思ったのは、やっぱり石油ストーブがいいなあという事であった。ちなみに3年前に買ったオイルヒーターはヤフオクに出品中である。