五日目

とにかく餅を食べる。バイト先の大家さんに頂いた餅には、餡子、きなこ、納豆、大根おろし他色々なバージョンがありどれも美味しかったが、そのままだと飽きる。トムヤムクンラーメンに入れたり、カレーに溶かしてみたり、油で揚げてみたりした。餅は保存も効くし便利な食材だが、一年を通じて食べないのは何故か。餅をつくのは勿論、貰ったり、買ったりする習慣が無いからだ。去年の春におはぎを作ろうと思って買ったもち米もまだ有る。まだ食べられるのだろうか。

休みで、何処にも出かけず、餅を食べ、焼酎のお湯割りを飲んでいると、自分はこれで幸せなのだと思ったりした。マグカップ一杯にお湯割りを注ぎコタツへ運ぶ時など、幸せはこの湯気を立てる透明な飲み物であり、両手でカップを持ってこぼさないようにそっと歩いている自分が、本来の自分のような気がしたものだ。「豚の幸福」と大昔の哲学者に言われた喜びを貪る。