海鼠腸(このわた。ナマコの腸の塩辛で日本三大珍味なんだって)の食感に目を剥くナベさん。僕はずっと藤田まことに似ていると思っていたがナベさんの方が現代風な男前である。以前twitterで見つけて連絡した時の約束通り遊びに来てくれた。7年振り位だけど「変わんないなあ」と思った。もちろん家族や仕事に色々変化は有るのだが、中身は変わらない。この日ナベさんはリュックを背負い、新宿から歩いて来た。NPO法人で働く奥さんと一緒に5月に100km歩くので、コースの下見と練習を兼ねていたのだ。100km歩いてケニアの子どもを支援
相変わらず面白そうな事をしている。この日は奥さんにはお目にかかれなかった(初対面が練習後の姿だと恥ずかしいから、だって。奥ゆかしい。)が、きっと面白い人に違いないと思った。ナベさんも僕の事は「変わんないなあ」と思ったみたいである。実も蓋も無くぶっちゃけて話すのはいつもの事だが、彼が相手だと何か刺激を提供したくなり、自分に対する否定的な思いも、お互いが育ってきた家庭のデリケートな話も、喜んで話題に上げるデリカシーのなさにそう感じさせたのかもしれない。
日本人の面白いところは画一的な国民性にあり、島に閉じこもって形成された独特の「私」感にある。市場や生活(アート)の場という切り口で考えれば海外にも目を向けてしかるべきだが、日本の面白さ=深さを感じさせるデザインや情報を編集して熟成させる特殊な環境(あれ、この話してないかも)というのは代替可能性のある集団的な「私」たちが内向的だからこそ生まれ、逆説的に世界に類を見ないものづくりができてしまうという、その、なんだ、そういう話をしたような気がする。「外こもり」とかもいいが、日本に留まり熟成させる事も必要じゃないかと。何をするかにもよるが、コミュニケーションを増やし、インプットを増やすのもいいが、どこかで情報を遮断して内向的にならんと、面白いものは生まれない。僕らも熟成を始める年頃なのかも。

第一ホテル裏の「にほん酒や」に行きたかったのだが予約していなかった為満杯で入れなかった。須弥山という店はいい店だが少々お高かったのでアサヒビアホールで瓶出しの紹興酒を買い、寒かったので家で飲んだ。後は例の如く酔っ払い、朝起きたら僕だけ全裸だった。奥さん来なくて正解。井の頭公園駅までフクちゃんの散歩がてら送り、分かれた。またねーナベさん。