エルニーニョもどき

エルニーニョもどき
東京大学の山形俊男教授が命名した現象。
太平洋中央部の海水温が上がることにより上昇気流が発生、これにより太平洋高気圧の勢力が強くなる。2004年夏に日本で発生した猛暑や集中豪雨の原因とみられている。(wikipediaより)

エルニーニョ現象は南米チリ沖辺りで発生するが、もどきは太平洋の中央部辺り。何故海水温が上がるのか定かではないようだが、最近の冬に逆行したような寒さの原因らしい。吉田戦車の「人間もどき」を連想させてなんだか可愛いらしい。きっと「これはね、キミ、あれだよ。エルニーニョのもどきの一つだよ」とか言って生まれた言葉なんじゃないかなー。ここ10年の日本社会で起こった事は全て「20世紀のもどき」だったんじゃないの?!とか言ってみるのも(webで読んだ言説を連想しつつ)面白い。事もないか。天気予報は見ても、テレビの予報士の解説は見ておらず。メアド変更して連絡した友達からたまたま聞いた語句である。

ハモニカ横丁のお袋屋台1丁目の屋上で飲んだ。来週発足するgreen drinks Kichijojiのプレ・キックオフである。twitterで知り参加してみた。吉祥寺に住んで7年目になるが、あまり地域との関わりは持ってこなかった。それでも住んでいると思う事もある。

吉祥寺の特徴は相対化の強さである。吉祥寺はこうでなければというのが特にない。逆に言うと見所がない。勿論風呂ロック爆音映画祭などのカルチャー的試みはある。井の頭公園もあるし、楳図かずお江口寿史原哲夫など漫画家に縁があり、有名どころが生息する町でもある。でも、中心は無い。
太田道灌本駒込に創建した吉祥寺ではあるが、明暦の大火で門前町の住民が住居を失い、五日市街道沿いの当地に移住して開墾した現在の吉祥寺は元々よそ者が作った町である。今日は現在に残る吉祥寺の道の裏話なども@boonie_booに聞けて面白かった。人工的な町なのだ。『アースダイバー』の縄文時代の地図を見ても吉祥寺は堅い洪積台地にでーんとある土地だ。安定した土地で、外部からの入植者も鷹揚に受け入れるみのり豊かな土地柄なのだと思った。

3代以上続く家も少なくない。皆不動産持ちで、持ち主が生きている現在、税収でやっていけてる稀有な町である。常々感じていた他者受け入れへの鷹揚さ(ユルさ)はこの辺にも起因すると思う。自らは安定してるから、後から来た人がどんな人でも、安定を壊さない範囲であれば受け入れるよ、という余裕がある。


飲み会でも色々これやりたいねという話が自然と出てきた。「今こうだけどもうちっとこう」「これは個人的にあったら嬉しい」みたいな自然な話である。「○○しなければならない」的な強制的な意見がなかったのも、吉祥寺らしい。店を出て、横丁の公衆便所に行ったら他の店から出てきた女の子が「みて!雪だよ!綺麗!!」とそれは嬉しそうに話しかけてきた。
駅から出てきた上品なおばあちゃんも同じセリフを言っていた。排他的な一面も有ると思うが、何でも相対化して受け入れる余裕が醸し出す「のほほん感」が吉祥寺だと思った。