セーフモード


休日。年中休日みたいなものだが。滋賀の友人とある禅僧のメールのやりとりが面白い。が非公開という事なので書けない。友人は異常なくらい嫉妬深い男である。なので彼が悟りを求めるのは他人より優位に立つ為な気もする。自分はそうでないのかといえば、自分もそうなのかも知れない。あからさまな分だけ友人の方が潔いと思う。

自己放棄は完全な簡素さ―過酷な修行、制裁、規律、服従に基づいて生活する聖職者のそれでなく、衣服や観念、食物、行動のそれでもなく、完全な謙譲の気持ちをもって生活する全的な簡素さの中に実現されるのだ。従って、そこには何一つ獲得成就するものもなく、高所に上るための梯子もない。(@krishnamurtibotより)

twitterのクリシュナムルディの言葉を紹介するbotである。原文は読んでいないが、とても上手に言語化していると思う。ただtwitterの更新頻度が高いので、まるで本人が焦って語っているような印象を持ってしまう。botなんだけど。このブログではヘタクソな言語化によって、自分にまつわる色々なものを陳腐でつまらないものにしてきた。信頼、感情、人生、夢。ただ一つ残っていた自分へのこだわり、全てを相対化して自分を消し去る装置として在る事(ヘタクソ)が最近はどうでもよくなってきたのだが、途端に知能指数が転げ落ちるように低くなっていくのを感じる。これは正しい事なのかも知れないが、望ましい事ではない。視界がどんどん曇ってゆく。自分は間違っていたようだ。また負けたのである。

懸賞で芝居のチケットが当たったので、店番の後、座・高円寺に向かう。Oi-SCALE公演『サイゴ』を観た。
Oi-SCALE公演『サイゴ』公式HP(音注意)
冒頭の悲しみっぷりにいきなり置いてかれた感がして閉口したが、自殺者のキャラクターや自殺する日の様子を共感できるものにしてくれたのはよかったと思う。特に湯田樹を演じた林灰ニがよかった。「お前らマンガみたいなんだもの」と言って笑い転げるのもいいなあ、と思ったのだが、この人、脚本・演出じゃないか。長井秀和は、想像通りの長井秀和だった。座・高円寺はとても観やすいすばらしい劇場だった。

夜、友人と酒を飲んだ。数年振りである。箱買いしたワインを空ける。「やりたい事以外の事は一切しない生活を自分に強いると、やりたい事の仲間が集まり、やりたい事で生活が回るようになる」を実践している人である。謙虚で、素直で、信念を持っている。これからも応援したいと改めて思った。