ヒーローショー


新宿に井筒監督の新作を観に行った。
メチャクチャな展開を期待してたけど、出来事のはじまりからおわりまで、破綻無く収まるところに収まっていた。ひとつひとつ丁寧に作られているのがよく判った。
そういう映画の場合、監督が何か言いたい事があると思うのだが、自分は若者を応援している映画だと思った。「妄想を生きる事の肯定」もあったし。

しかし井筒監督は暴力をリアルに撮るのが芸術的にうまいなあ。暴力の瞬間に起こる感情の機微がすごく自然で感心する。

役は皆「リアルにいそう」なキャラクター。キャストの演技はキャラが明確過ぎる分、演じている感じに見えた。犯罪を描くのなら「リアルにいそうな犯罪者を演じる人」より「リアルな犯罪者」を撮った方が自然なのは当たり前だ。

今作は犯罪を描く事が目的ではなく、それをネタに「どうしようもねえな!でもどうしようもねえよな!」と伝えている気がする。だからそれでいいのだ。「SOSをオレは感じてるよ」みたいな。

でも、鬼丸兄弟は大好き。最高。

(付記)
この日の夕方、大野一雄さんが亡くなった。論理的な人物だったらしい。