だらず


京橋のフィルムセンターにオリヴェイラ監督の『カニバイシュ』を観に行った。既に観た知り合いが絶賛してたので。オリヴェイラ監督、79歳頃の作品。傑作でした。高度にコントロールされたオペラを見せられてる感じ。目が離せない。美声をずっと聞いてたら頭がぼうっとなった。ラストの爽快感といったら無い。爽快だったのでついチューハイを飲んでしまった。


夜は美学校とも縁が深い役者さんである森田亜紀さんの芝居を観に行った。西原理恵子原作『ぼくんち』の舞台である。中野の劇場に行ってみると、なんと目の前の席に西原さんがいた。
純粋さ故に幸せになれない悲しさは、真実として美しい。ぼくんちの濃いいエピソードを2時間の芝居に詰め込む為に原作よりも人間関係が狭くなっていたが、濃密さが増してよかったと思う。舞台『ぼくんち』独自の演出として、劇中歌やダンスがあった。振付は森田さんがしたそうだ。
やたらとちんこまんこ言うセリフが親しみ易く感動的なのは、アウトローだが憎めないキャラクターの為であり、憎めないのは「自分に正直」であり「どうしようもなくそうなっている」からである。虚飾をとっぱらった純粋さが胸を打つのだ。
「今までアタシのまんこにちんこ入れくさったオトコぜんぶ、ちんこ腐って死んでまえー!」
ダンスや歌では清らかな美しさが表現されていた。こんなに素直で清らかなのに、人間社会で汚され、時に消されてしまう悲しみ。森田さんはこういち君の姉役がメインだったが、艶かしく綺麗だった。何となく皇帝に寵愛される芸妓みたいな印象だった。
実は「アイドル押しの舞台なんじゃないの〜?」と思っていたのだが、考えてみたら西原漫画原作でそんなものになる訳がなかった。なかなか痛快でした。

ちんこまんこの絶叫連発より西原先生の写真に写りこんだ自分。口元が笑ってるように見えてキモイ。そうか高須クリニックの院長さんだったのか。金の匂い…
西原先生に「画力対決見てます。頑張ってください」とか言って握手でもしてもらおうかと思ったのだが、「金を請求されるかも」とあり得ない考えが脳裏をよぎり話しかけられず。バカだ。
舞い上がってしまい森田さんとも上手く話せず、反省しながら線路沿いを歩いて帰った。美女は苦手だ。舞台やりたい。