おつかい


自分だけかもしれないが、起きている時間が長くなると、どんどん目の前の事しか考えられなくなる。まだ慣れてないからか。これ以上浅薄になったら存在感も消えてしまいそうだ。
昼間はおつかいや振込み、家事などの他読書をした。外の移動では相変わらず走ったり早足なので、家にいる事自体が休息みたいになってきた。松尾貴史『なぜ宇宙人は地球に来ない?』は雑誌連載をまとめた本だそうだが、気軽にパラパラ読める。まとめブログを読んでるみたいな軽い感じ。氏のお人柄が伝わってくる。しりあがり寿のイラストも楽しい。
長崎盛輝『日本の伝統色』は何かの参考にしようと思って買っただいぶ古い本。主要な伝統色225色について図版と詳細な解説が載っている。好きな色を探すつもりで読む。読む前はこんなにたくさん有るのかと思ったが、読み終わる(眺め終わる)とこれしかないんだという気分になる。選りすぐりの225色。

面白過ぎる。こんな事やってたんだ

京都の和菓子ブランド。かわいいのでお土産にしたい

並べて見ると驚くほど違うが、個別に見るとこんなもんかもと思う

主に読んでたのは須賀敦子ユルスナールの靴』だった。これも再読。「海外生活をしていた日本人作家」というだけで「すげえ」と憧れてしまう。とても品のあるエッセイで好きだ。流れるような文なのだが、ある印象を表現するのに文献や歴史物の説明やそれらに触れた際の著者の体験などがどんどん挿入されたりする。そのめくるめく感じの為か、作者の性格や個人的な思いが簡潔な言葉でどんどん伝わってくるからか、途中で一休みしたくなる。
昔からエッセイといえば、幸田文や白州正子、開高健色川武大もそれぞれ違った憧れから読んでいた。池波正太郎のグルメ本も楽しい。沢野ひとしはより身近に感じて『太田トクヤ傳』を読んで新宿の池林房に行ったりした。ともあれ改めて読書をしてみて、落ち着く理由は「(自分から筆者への)片思い」であり、一方的である以上「安全」だからだと思った。特にエッセイはそう思う。

そういう自分が憧れる人達にも憧れる人がきっといる訳で、『ユルスナールの靴』では時代を越えた過去の相手を理解しようと行動しているのが積極的だと思った。