本番


昼間は暖かかった。至る所で花が咲いていた。

「被災地へ医療スタッフとして行ってきました。」

午後、前川さんのワークショップへ向かう。電車では手元を隠して大人しくしていた。焦りもあり水天宮の会場に着いたのは15分遅れだった。5月に公演される『台所純情』の稽古場である。マスクをしていたのだが、前川さんに一瞬、他の参加予定だった女性と間違えられてちょっと「よし」と思った。遅刻してすみませんでした。でもちょっと嬉しかった。

公演があるのでいつものメニューとは違う。震災の影響で参加者もいつもより少ない。本読みから始まる「一連の芝居を作り上げていく過程」を学ぶワークショップだった。過程の全てに具体的な理由が有る。言われてみれば当たり前のようで自分はよく解っていなかった。役者と演出家の役割の違いもとても解りやすかったし、ノウハウも聞けた。役者として「いつもの自分」で参加していた自分の甘さを感じた。


驚いたのは教わったやり方を実践したら、台本を渡されて間もないのに本を離して稽古が出来た事だった。実感。セリフの覚え方は人それぞれだろうが、自分は絵を描いてみた。これも悪くないかなと思った。勿論色々失敗した。ダメ出し→修正で作るのでそれはそれでよい。でも恥ずかしい。
飲み会では近くの魚介を串焼きで出す居酒屋に行った。自意識過剰だが店員さんが普段より優しい(戸惑ってる)気がした。話題は震災絡みの事も多かった。プロとは何か聞いた。自分ばかり質問させてもらったので、他のメンバーの方は眠そうで申し訳なかった。自分は思った事をすぐ話してしまう。ぐっと溜めておけないのは我慢弱くて自分を殺しきれないからだろう。

帰宅。大きく傷ついた事も無く、何者にも成れないまま自己完結して、外部と交わりきれないままではマズイ。「やった(てる)つもり」が生活の大半になってはいないか反省する。このブログとかさ。前川さんから「こいつは迷走してるなと思ったから…w」と言われた。その通りですがな