先週


雨続き

合羽といっても穴だらけのポンチョでは
すぐ体で雨を感じるようになる
まばたきしないようにしてみても雨粒で結局つぶる
強い風が型押しみたいに体を見せる
洗ってない犬みたいな鼻の中のにおいと
雨で冷えていく胸元のゆっくりめの拍動
体の境をつなぎとめている
区の防災警報が切れ切れに聞こえてきて
子供の頃よく蜜を吸ってた桃紫色の花が道を流れていく
体を伝って口に入る雨を飲んでいたせいか
腹がぐるぐる鳴り始める


ピンポン見て
怖い夢見て起きて笑って
連絡が来て


休みの日、仕事ではなく黒い服を着て
今日はきちんとしようと思った



オッサンのアホ毛ほどきちんとしてないものはない
雨でくしゃくしゃの髪と目元の傷跡を意識しつつ
時間があったのでもう一方の仕事の営業をする
したついでに折りたたみ傘を買った
赤が似合うと言われて困惑する


たまたまやっていたらしい
お土産物屋で手ぬぐいと団扇を買った
父の日に送るのだ


友達の家は川口で
初めて来たが都会だった
キューポラというのは金型工場の炉の
正式名称なのだと知った


初めて会った友達のお父さん、お母さん
どっちに似てるのかよくわからなかった
友達の部屋で昔のアルバムなど見せてもらった


付き合いたてのカップルかと


ぼくと同じく通夜にも式にも行けない
前川さんに言われた


地図のない男になる