髪を伸ばす理由

ずっとロックがなりひびいている
死者と青春と漫画家と発明家と演出家とミュージシャンと天才と堕落者と男と女とみんな幽霊で観客でよるで朝で俺はそれをずっと聴いていたいので、夢の中で何度も繰り返す
そこはアパートの二階か、夜それは始まり劣等感を、煮詰めて客観性を、吹き飛ばしてただ、やりたいことをやり叫びたくなれば、叫び腹が減れば作り食べ、蹴りたくなれば蹴り見せたくなれば見せ、幽霊になっても過去の執着が地縛霊みたいに音楽とともにそこに永遠に体を持って出現し続けるロックと、ともにその、歌詞もメロディーも、変わらず鳴り響いている

やりたいことだけをやり続ける演出家
新作は宝塚みたいな幼稚園の学芸会だスケールが、違うしかも、ぶっつけだがそれらしかった良い天気だった

天井桟敷ろくでなしブルースと発明によって自動的におでんが、煮える家
ずっとやってなくていいんだよとおっさんの幽霊は優しいが、繰り返しの一回では蒸気のパイプを律儀に水滴に当て続ける
しょっぱい、がんもが煮えた

ずっと闘いの音楽が叫び声と、共に流れていて特定の歌詞毎にアパートの二階から、隣接する廃校上のマシンから、押入れから。がらくたから、おっさんや、おかまやお姉ちゃんやにいちゃんや子供たちが出てきてそれぞれのパートを歌い、基本的にぶつかりあっていて、それでいて歌を聴いている。彼らは皆、過去で、既に死んでいる事を知っていて、きっかけさえくればまた永遠に全くおなじことを始められることを知っているから優しいが、僕という、客が、気の済むまで、木になるものから、眺め聞き触り飛び出し命令され演じ腹を減らし憧れ殴り飛ばされ動き回りまた繰り返しているので、そこに流れる曲を何度でもたのしめる
それは同じものの同じ時間の別の視点から見たものに過ぎないのかもしれないけど、すげえ、面白くてずっと笑いと、感動がとまらなかったんだ

ボクは愛おしいあの死んでいることを知っていて夜に向かって繰り返し同じことをする者たちをその連なりが作り上げる止むことのない音楽劇を彼らは皆したいことをしてるだけでそれらが響き合っているのだあの歌詞にも発明にも衣装にも暴力にも全部意味があった彼らは皆ひとりで出番が終われば消えていくのだ

寝起きのiPhoneメモより