じゃがいものみそしる

実家の味噌汁には偶にジャガイモが入っていて
煮崩れて溶けかけたジャガイモはマズかった
味噌も出汁も合わなかった


このブログは、そういう感じにマズい
最初は舞台に出る事になってその宣伝と、
フリーでがんばってます的なアピールをしていた
公演が終わって舞台、映画から徐々に敗走していった
なんとかなる事はがんばり、ならない事はあきらめ
だんだん酔っ払って書くようになった
不明瞭なグチや、消化できずに吐き捨てられた
言葉の羅列になっていった


自分でも何がしたいのかよくわかってなかったし
今でもよくわかってはいない
体と心の管理をしながら、求められるままふるまう
時には嫌がる自分を殺してしまうと、周りから色々入り込んできて
それはそれで自分の顔をしていて
いつの間にか、はみだしてくるものが
気分としてじわじわと現れてきていた


ジャガイモの溶けこんだ汁の
舌触りと鼻腔に広がるにおいが
主張してくるマズさによく似ていた
ジャガイモの味噌汁はマズいので、
実家でもよく残った
このブログは、そういう感じだ


父は餡かけが大好きで「贅沢な気分になる」と
人生を振り返って綴っていたノートにあった
なんとなく血を感じる。けど、誰に見せるつもりもなかったかもしれない
本人は人生に失敗したと思っていたが、いい役者だったと思う


これまで自分が憧れていた人のかっこよさというのは
その人が一生懸命、続けていたからに他ならないことを知った
生きるとは死ぬまで感じ続けることなのだった


餡かけはウマいのですばらしい
いつかじゃがいもの溶けだした汁が
餡かけみたいな調和のとれた汁になるまで