年齢

先輩の結婚式があった。
六本木の新国立美術館の近く、
よく日雇いバイトしてたところだ。
あの頃の筋肉は、今はない。


式で流す映像制作と、二次会のPAが役目だった。
技術は簡単だが、内容は対人関係の配慮があり
なかなか決まらなかった。大変なものである。


配膳室から梯子で昇ると小さなPAブースがあった。
会場を見下ろす一畳もないスペースで、
立つと目立つのでしゃがんでいた。


余興用のDVDを直前に焼いたり
開演後にきっかけの音を作ったり、
勘で照明のスイッチを押してみたりして
結構即興の楽しさがあった。


即興は司会や余興や参加者にもあって、
お仕着せのない良い時間だったと思う。
立ち上がると膝が痛かった。


司会の高森くんがうちに泊まるので
途中で水タバコ屋に寄ったり、
居酒屋で飲みながら話して遊んだ。
10年以上のつきあいになるけど、
やっぱりこの人はさみしがる天才だと思った。


駅前でアシンメトリーな刈上げ頭の男が
似顔絵を売っていた。絵の前には日本語で
「最近の日本人は嫌いだ」と書いてあった。
そうか、と思って笑ったら、笑ったなと言われた。

共感なんて垢のようなもの、気にすることないのに

少し年齢を感じた。

後で絵を笑われたと思ったのかもと、少し反省した。