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怪談は生がよい。
一本の蝋燭の火に向かい合って
一人が語り、一人が相槌を打つ。
語られる景色と視界の隅の暗闇と
火に照らされる顔と、語りの声と
聞こえてくる音と寒さ、空気の流れ
強張ったり、弛んだりする体と
それらが起こっているその場と
虚実一体の体験が、心をもみほぐし
記憶に残る。
怪談の元の話は誰かの出くわした体験で、
体験に関係有りそうないわくが有ったりする
誰誰が何何で悲惨に死んだとかいう
それも誰誰が死ぬ時に体験したことだ
死んだ者は忘れられるのを嫌がると言うが
何となく、インパクトの強い体験をした時の
人間の思いが写真みたいに世界に焼きつけられたもの
それが霊とかいわくの正体のような気がする
忘れられるのを嫌がっているように感じさせるのは
人格を持った故人の精神とかではなく
体験を人類にシェアさせねば治まらないという
焼き付けられた一部の思いのような。
そのバーでは娯楽を強める仕掛もあって
うわあと声を出して驚いたのだけど
作意は嫌だが悪意はないので楽しい
酒を出す場所と酒を飲ませる人は
どこも似てくるものだけど
怪談の本質は体験の共有なのだから
元の体験に寄り添いたいと思った。
特殊な場所や流れも生きて死んでの繰り返しに発生したものなのだから
生きてるって力強い
ちょっと怖い
酔ったけどちゃんと帰れた
語りの人に芝居の宣伝もした
ダイアログ・イン・ザ・ダークの時みたいに
新しい経験は無邪気になれて楽しい
これが遊ぶということかと、久々に思った。