個人体験

法律は普遍的なものの集合で、殺人は究極の個人体験である
法律という網で殺人という個人体験を掬うと抜け落ちるものがあり、
抜け落ちたものの中に殺人の本質がある
それは生理感覚や皮膚感覚、情緒を通してでないと見えない


山上たつひこ原作・いがらしみきお作画『羊の木』
単行本の巻末に掲載されている対談で山上が語っていた


何でも個人体験から始まる
誰かの体験を本当に理解しようとするには
自分の個人体験が必要なのだ
ひどく感心して、これは何でもそうだ、と思った


職場の猫、しろごまはだいぶ弱弱しくなっている
体調がよくないのだろう、じっとしている顔が
僕には晩年の父の顔とすっかり重なってみえて
えらいなあ、お前と会う度に思うのだった