Places We Won't Walk

娘の誕生日は、自宅で仕事だった
これという誕生日プレゼントはなく
仕事の合間に娘の写真を見ながら
彼女と桃と梨を食べた
彼女の実家でもお祝いしてくれた


娘の命日には、実家から花と菓子が届いた
うちでも花を買い足し飾って
いつもの線香の後、薔薇のお香を焚いたりした
それからなんとなく空き部屋の掃除をしたり
風呂場の垢を落としたりしていい気分だった


娘が生まれ、亡くなって1年が過ぎ
それに伴う一連の出来事は昔のように感じるが
生まれてきてくれた娘への思いは常にある
追加されるものがないので猶更
愛してるという思いしかない
生まれてきてくれたことに感謝している
DNAなど関係ない


人間社会は自分が生まれる前も
自分が死んだ後も腐っていると思う
人間が集まると腐るのである
腐る前に中身が入れ替わるルールもない
(それはまだ作れるのかもしれないが)
人間は同じところに留まりたがり
一度腐った精神を変えることはできない


彼女は「社会なんて幻想で、
生物は生を全うするだけだ」という
「なのに腐った組織や独りよがりな精神に、
何故傷つけられたり、邪魔されなければならないのか」と怒る
もちろんこれは彼女の発言を
自分が勝手に要約した解釈なのだが
自分は彼女の話に頷き
建前やなんとか主義はもういい
唯一の正解や「正義」はない
ルールは自分の中「だけ」で持てばいい
と思う

この世に自分が好き勝手に傷つけたり
壊したりしていい対象も(自分の体も含めて)ない
そういうものを持ち出したり求めるのは止めて
みんな他人を否定せず、自分の生に集中したらいい
みんな自己評価などしなくていい
自分の生き方を自分で好きでいられたらいい


そんな風に考えてまた、娘のことを思う
それは自分の人生で、この先出会うかもしれない
自分の子供のことでもあり
1年前に生まれて亡くなってから
いつも自分の中にいる娘のことでもある