ワガママ1

店を早仕舞いさせてもらい、池尻のPUBLIC/IMAGE.3D児玉裕一×スプツニ子のトークを観に行った。
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児玉裕一氏はミュージックビデオやCMの映像ディレクター。UNIQLOCKTabio_Slide_ShowなどWEBの特性を生かした映像制作で、広告業界でも評価が高いらしい。
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スプツニ子女史は理系アーティスト。作曲、デバイス制作、パフォーマンス、ミュージックビデオ制作など。今年ロンドンのRoyal_College_of_Artを卒業。
日常的にネットで面白いものを探してたら、この二人は見つけられる筈である。自分も面白いなあと思ってはいた。でもこの二人のトークが作品より面白い事はないだろうと、温〜い気持ちで出かけた。
いやいやいや。この二人は作り方はだいぶ違うけど、いいコンビだった。
児玉氏は業界で依頼を受けて作る人。商品を売る、楽曲プロモーションといったスポンサーの目的有りきで、リアクションとして氏の独自の解釈やアイディアが生まれ映像になる。ディレクションはしても著作権は持たない。
スプ子女史は自らのコンセプトをリサーチで膨らませ、デバイス制作や作詞・作曲で形にした後、他者の映像監督を呼び入れ、共作という形でミュージックビデオに落としこんできた。著作権も持つ。
どちらも常識人である。それぞれ異なる過剰さを持ちながら、常識の範囲から逸脱する事なく、お互いのやりたい事、やってきた事に率直な質問を投げかけあい、最後は新プロジェクトまで話が発展。

スプ子女史は今は制作費の調達システムへの関心が高いようで、お金の話が多かった。アーティストとして、アイディアに金を出す仕組みがもっと発展すべきという辺りは自分も興味はある。「日本中の人が一人一円くれたら一億円以上集まるのになあ」なんて誰もが考えた事はあるだろうが、参加者の数はまだ限られているとはいえ、ネット上での課金や投げ銭システムがもっと個人に適した、気楽なものになっていくと思う。
彼女の作品はキャラクターが明確にあるものばかりであり、スポンサーにプレゼンしやすい。児玉氏も彼女のDVDを「全てプロモーション」と称したように戦略的であり、アイディアも魅力的であり、更に自然にそういう方向に向かうたくましさがある。頼もしい

彼女の作品コンセプトにあるジェンダー、サイボーグには個人的な思いを感じる。ピルを毎日飲んだら安全に生理を止める事ができるのに、文化的な倫理観からくる圧力によりそれが成されなかったという事実から生まれた「生理マシーン」という作品。生理を体験できない以上、自分には解らないと思っていたのだが「今後はデバイス(生理マシーンなど)を体験してもらう機会もあるかもしれない」と言っていた。
バイスは共感を強めるツールだ。それが個人が開発したものであれば尚更面白い。上記ビデオは女装男性「タカシ」の物語だが、実は女性が生理マシーンを身につける物語も考えていたという。<生理がなくなった世界>における、女性らしさを表すイコンとしての「生理」をファッション感覚で身につける女性の話である。ゾクゾクしますなあ