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多摩動物園にて

風が好きだ。風は空気の移動で、温度変化で生じる気圧差で起こる。地形との摩擦や自転の影響も受ける。問答無用で起きる。都市では電車に押されて風が吹く。運動でも風は起きるが、浴びていて気持ちよくはない。無意識に吹いている風の方がいい。地球から空気が無くなるまで風は吹き続け、気圧差が無くなったら止まる。運動も差があるから起こる。移動以外にも色んな目的があって、何かが足りない時に起こる。社会的な運動の目的は均質化だったりもする。物理は勝手に均質化に向かうんだし、生き物がわざわざ均質化を進めることはない。どうせするなら、個人は異なるもの同士で交わり、多様性を増やす運動をした方がいい。話がすり替わってしまった。ただただ仕方なく吹いている風が好きだ。一面砂利と雑草が生えたような空き地で風に吹かれていたい。それで側溝のザリガニを取ろうとしている子供など眺めていたい。空き地はどんどんなくなっているし、そんな子供はもういないかもしれない。ザリガニが側溝に入るような環境もない。でもそんな想像の場所ですら空気の動きを感じてみる時、自我がなくなる感じがしてちょっとうっとりする。

『暗黒日記』は寝る前に少しずつ読んでやっと50ページくらい。予想通り暗くなるというか、程度の差はあれ現在と変わらない部分が多く、自分の事しか考えられない政府首脳のままでは、戦争を起こされる事も有り得るという思いの現実味が増した。筆者の人柄と知性に救われるような気もするが、戦争を止められなかった市井の一人としての絶望を感じる。そして昔の人の名前は難しい。『最初の悪い男』は先に妻が読んでいてとても面白そうである。